トップメッセージ

すべての人の心に
豊かさを届ける

代表取締役社長 社長執行役員 吉川 英作

日販グループは、サステナブルな社会・業界の実現のため、ESGを重視した経営を推進しています。ESGは、社会と共に企業が発展していく上で重要な3つの観点ですが、“人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける”を経営理念として標榜する日販グループにとって、最も注力しなければいけない概念であり、ESGを意識した事業活動が結果としてSDGsの達成に貢献していくと考えます。


グループの祖業である取次事業は「公の器」として社会に貢献してきた矜持があり、私たちの経営理念やこの矜持はESGに直結するものです。取次事業の中核事業会社である日販が進める出版流通改革は、現在、業界内の様々なプレイヤーが様々な場面で、その論理を発信しています。業界の発展のため、それはとても素晴らしいことで、本家本元を自負する日販も、粛々と懸命に進めています。


しかしながら、それらの改革は、業界内でのプロフィットシェアの配分を変えることや読者のみなさまへ早く安定して本を届けるための流通を構築することなど、それぞれがそれぞれの目的達成のため、個別に進めている状態になっているのかもしれません。本来であれば、業界共通の大いなる1つの目的のもと、改革が推進されるべきなのだと思います。


業界一丸となって取り組むべき最大の課題は、返品問題ではないでしょうか。送品を100としたときに、その内40近くが返品されるというのは明らかなムダであり、そのムダをなくすことは、プロフィットを生み出すだけでなく、地球環境への配慮、労働環境改善、どちらにも資するものです。これはきっと、業界共通のパーパスになると思います。


弊社で、返品減少による環境視点での効果を試算してみました。業量の減少にCO2排出量の減少が追いつくことを前提としたものです。


2020年度の日販ルートの返品における(返品される商品の仕分けや輸送によって排出される)CO2排出量は年間で約52,600t-CO2(自家用乗用車が年間に出すCO2の約37,500台分)でした。ここから取次ルート全体を類推すると、年間で約123,700t-CO2(自家用乗用車約88,200台分)となります。


ここでもし、雑誌の返品だけでもゼロになると仮定した場合、雑誌の返品センターは不要となり、返品にかかる仕分け作業や輸送量が減少します。これにより、取次ルート全体では年間で約50,300t-CO2(自家用乗用車約35,900台分)のCO2排出が削減されることになります。


あくまで試算ではありますが、輸配送の効率化や庫内作業の見直しも含めて、目標値と戦術を練っていくことが、出版流通改革そのものだと思います。改革のスコープは当然、サプライチェーン全体に及びますが、まずは私たちの出来るところから目標化し、今後KGI・KPIも定めていきます。結果として、川上から川下まで、業界全体に貢献できればと思います。


そして当然ながら、日販だけでなくグループを挙げてESGへの取り組みに挑戦していきます。


グループ共通で、働き方改革やDXの推進による、ペーパーレス化、トランザクションの削減、各種業務効率化などを推し進めていきます。


各事業においても、それぞれの特色を活かしたESGへの取り組みを積極果敢に行っていきます。すでに、返品から発生する古紙を使ったサステナブルなプロダクトの製作をスタートしておりますし、グループ書店では、他業界での小売現場で見られるようなメッセージ性を伴うコーナー展開も行っていきます。加えて、企業のオフィスや様々な商業施設へのグリーンの導入をサポートする事業も拡大しており、これはまさしく地球環境への貢献そのものとして、グループのサステナビリティの象徴ともいえる存在です。その他、海外・雑貨・コンテンツ・エンタメの各事業も含め、グループ全社でESGへの取り組みに挑戦していきます。


サステナブルな社会・業界の実現のため、ESGに本気で取り組む文化を醸成することこそが、日販グループの 未来をつくると確信しています。

日販グループホールディングス株式会社
代表取締役社長 吉川 英作

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